少女が、城から外に出ると辺りは、真っ暗でした。王子の言う通り、すぐそこは森で街とは違い、静かな時間が流れていました。
夜の森は怖いと、ずっと教えられてきましたが、この森は、全てを包み込んでしまうかのようななんとなくほっとするような気持ちになりました。
数歩歩いてから、少女は急激な眠さに襲われて目を開けることも辛くなってしまいました。
あと少しだけ、少しだけと歩いた少女ですが、今までの木より一段大きな木を見つけるとその木の根元まで駆け寄って、瞬く間に眠りに落ちました。
今日は、本当によく歩いてたくさんの人に出会った小さな身体は、疲れていました。それを抱きしめるかのように木は立っていました。
規則正しく刻む少女の寝息は、真夜中へ溶けていきました。