「私、また王子さまに会いたい。会える?」

「会えるに決まっているさ。僕のこと誰だと思っているの、ここの王子さまだよ」

王子は微笑み、そっと少女の手の甲にキスをしました。

「かわいい僕の姫。決して後ろを振り向かないで」

少女は、頷き、ゆっくりと王子から離れました。
ふわりと漂う王子の香り。それが未練がましい気持ちにしましたが、王子の言う通りに、後ろを振り返りませんでした。

部屋の奥まで進むと、角に小さな布が垂れ下がってしました。それを、引くと小さな扉が現れました。少女は、少し躊躇しながらもその扉の向こう側へと足を踏み入れていきました。