少女の知っていた答えでしたが、いざ言葉になると、どっと悲しみが押し寄せて心を埋め尽くしました。

ここまで、いっぱい歩いて冒険して、別世界でたくさんの人に出会って別れて。きっと頑張ればもとの世界に戻れて、お母さんに力強く抱きしめてもらって、疲れ切った体を温かいスープを飲んで、ふかふかのベットに兄弟たちとぎゅうぎゅうになって夢を見る。
そんな普通の日常を、望んでいるだけなのに。私は、どれも叶えることは出来ないのだ。

「姫、我慢しなくていいんだよ」

気づくと、王子は少女の足元に座って、手を握ってくれていました。
その言葉で、少女は声を出して泣きました。泣いても泣いても次々と、悲しみは襲ってきました。
早く、早く私のもとから去って欲しいのに、ずっと心に居座って離れない。
さっきまで、平気だったのに今まで怖かったことも後から追いかけてきました。
知らぬ間に疲れてきった体と心で、どうしようもなくなった少女は泣き疲れて寝てしましました。