「さて、姫。一体どこから話そうか」

王子が、優しく微笑みかけます。しかし、少女はわかっていたのです。
王子の顔を見たときから彼は、少女のもとの世界に戻る方法を知らないことを。

少女は、この顔を何回も見てきました。見飽きるくらい見てきました。
みんな、たくさんたくさん優しいから少女のことを、温かく迎えてくれるんですが、もうそれさえも疲れてしましました。だから、少女ははっきりと言いました。

「私は、もとの世界に戻れるかを教えてほしい」

優しさだけは、もういらない。もうこの世界の人間からもう十分なほどもらったから。


王子は、ふーっと息をついて、一間置きながらいいました。

「姫は、もとの世界に戻ることは難しい」