「ちょっと、残念だと思った?」

「いいえ、絵の中のあなたのままだわ。時間をかけてさらに素敵になった気がする」

「そんなことを言ってくれるのは、君ぐらいだよ」

男性は、軽く笑うときりっとした顔に戻り右手を胸に当て、右足をひきながらお辞儀をしました。


「自己紹介が遅れてすまない。私は、ここの王子だ。君のことは、騎士から聞いている」

少女は、お母さんに教えてもらったように、スカートの裾を両手で持ち、右足を後ろに引き、深くお辞儀をしました。

「可愛い姫はとても素敵なお母様のもとで、育ったようだね」

王子は、近くの椅子に座らせて、後ろに控えさせていた大臣に、目配せをして部屋から出ていかせました。