大広間の天井はとても高く、壁には多くの肖像画が飾られていました。
部屋の中を見渡しながら、進んでいくと少女は、一つの絵の前で立ち止まりました。

その絵を、見たときから息をのむような美しさに感動を覚えました。
細い線で描かれたその絵は、繊細な色使いでその中に吸い込まれそうな感覚になりました。
その中には、3人の子どもが仲良く遊んでいます。
屈託のないその笑顔は、この絵を見る者を幸せな気持ちにさせると少女は思いました。


「その絵、気に入ってくれてかい?」

声がした方を向くと、一人の男性が立っていました。

「ええ、一番惹かれたわ。この色味がとても好き」

「僕も、その絵が好きでね。見てて飽きないんだ。実は、この絵の中の男の子は僕だったりするんだ」

絵の中の男の子と目の前の男性を見比べると、確かに目元が似ている気がします。