「散れ」

背の高い男の一言で、若い男たちは逃げていきました。


「あの、助けていただいてありがとうございました」

「子どもがこんなところで何をしている。とっくに家に帰る時間だぞ」

その言葉は冷たく、少女の体は凍ったように動けなくなりました。
精一杯の力を振り絞って、少女は答えました。

「街一番の踊り子に教えられて、お城を目指していたの。その道中で騎士に会えばいいって教えられて」

虚しくも、少女の言葉は最後まで聞き入れられませんでした。