けれど、どうやってその踊り子に会おうかさっぱりわかりません。
あの人に聞けば、戻れる方法を知っているかもしれないのに。

舞台袖から潜りこんでみようと考えてみましたが、そんなことをすればきっと怖い人に見つかって、追い出されるのが目に見えています。
でも、この建物から出てしまえば、その入り口さえ見つけられない可能性もあります。

どうしよう……と考え込んでいるうちに、観客は帰るようで、少女もその流れについて行ってしまいました。階段を上がって、入ってきたところから出ようとしたとき、その反対側に不自然な扉があることに気がつきました。その扉に誰も気がついていないようで、みんなさっさと帰っていくようでした。
少女は、少し戸惑ってから、決意して人の流れから抜け出し、辺りを確認してからそっと扉の向こう側に、身を翻しました。