彼女は、その人に近づいていこうとしましたが、見えない壁がそれを邪魔をしました。どうしたら、話しかられるかと考えていると、男性がこちらに気がつきました。

「誰かいるの?」

その目は、虚ろげで焦点があっているのか不安になる目でした。

「私、あなたに会いにきたの」

「そうなんだ、嬉しい。でも、ごめんね。僕は今、とても眠いんだ」

男性が、こちらに近づいてきました。その手には抱えきれないほどの何かを持っています。

「ここは、昼なのか夜なのか分からなくて。もうずっと寝ていないんだ」

そういう男は、もうすぐに寝てしまうのではないかと思うほど、うとうとしています。

「じゃあ、こっちにくればいいんじゃないかしら」

「それは、ダメだよ。そっちは怖い。何が起こるかわからない」

「私がいるわ」

そう言っても、男は不安そうでした。