オタク論について一人で悩んでいたら、よっちゃんが「ふーん」と呟いた。

よっちゃんこそ、桜井先輩の事好きなの?って聞きたかったけど、墓穴を掘る気がしてやめた。
とりあえず今は勉強に集中しよう。

豆腐ハンバーグのヘルシー定食を食べた後、定食屋さんで勉強を始める。
途中で健君が顔を出して「勉強一緒にやろうぜ」って教科書を持ってきた。

おじさんが「健が勉強か。留愛ちゃんと佳子ちゃんのおかげで赤点免れるといいけどな」って笑う。

「赤点なんか取ってねーよ」って言いながら、教科書を開いてうーんと唸る健君。

勉強は得意じゃないから「おい、水島。これ教えてくれよ」ってよっちゃんに詰め寄ってうっとうしがられていた。

私はというと、先輩の宿題は自力でできそうな範囲で今日の復習と予習を兼ねてた。

付箋が沢山ついてる問題は苦手な計算で、あの短時間で私の実力を見抜いちゃったんだなと思う。

先輩、家庭教師向いてそうだな。
女の子は褒められたくて頑張るだろうし、男の子にも意外と慕われそう。

「留愛、何ニヤニヤしてるの?」
急によっちゃんに顔を覗き込まれてのけ反る。
別にニヤニヤなんてしてないし……。