中学1年生の冬、ママにはホストの恋人がいた。
ママ好みのビー玉みたいに大きな目、少し分厚い唇で高慢な喋り方。

当たり前みたいにママの財布からお金と取り出して仕事に向かう姿が嫌いだった。

だけど仕事に行ってくれるだけましだって気が付いたのは、ほとんど仕事をしなくなって家でごろごろしている姿ばかり見るようになってからだった。

ママは仕事でいなくて、その人と二人きり。
時々ハイエナが獲物を見るような目で見つめられていることは感じていた。

よっちゃんに無理言って毎日のように泊まらせてもらっていたけれど、健くんの定食屋さんで待ち合わせの約束をして一人家に帰ったあの日。

テレビの前で眠っていると思っていたのに、後ろを通った瞬間セーラー服のままいきなり押し倒された。

「俺の事避けてるだろ?」
「……別に。離して」

精一杯の強がりを鼻で笑って、力を強める。お腹に跨がられて手首を捕まれて、どんなに抵抗しても動けなかった。