そのイケメン、オタクですから!

「本当にすみませんでした……私のせいで皆が退学になったら、どうしよう……」
今さら事の重大さに気がついて肩を落とす。

私が早まった事をしなければ、及川先輩はきっとアルバイトの自由化を実現していたんだと思う。

それなのに……。

全部終わってから泣くつもりだったのに、我慢できなくなって涙が零れる。

私は……本当に馬鹿だ。

及川先輩を守るつもりだったのに邪魔をしていた。
よっちゃんと桜井先輩にまで迷惑かけて。

「大丈夫だから、泣くな」
先輩に引き寄せられて、厚い胸板に顔を埋めた。

急に心臓が激しく打ち始めて、慌てて私は先輩の胸から逃れる。
先輩は少し不満そうにハンカチを差し出してきた。

一応受け取ったけど……涙引っ込んじゃった。

「俺も退学になるつもりはねーし、名簿に載ってる在校生は保護者もバイト推奨派だから退学なんて事になったら黙ってねーよ。
校長も40人以上の退学者なんて出すわけねーだろ。悪くて停学、たぶんお咎めなしだと思うけど」

先輩の言葉は真実味があって、私は少し落ち着きを取り戻す。
今更どうすることも出来ないから、私に出来ることは祈ることだけ。

先輩の言う通りになってくれたらいいと思ったけれど、不安は拭えなかった。