「1人で怖い言うなら、わいも協力したる。

わいも元彼のところに行って、まやと一緒にぶつけたる。

“何でまやを捨てたんや!”って言って、一緒に怒ったるわ」

「――狼谷さん…」

呟くように名前を呼ぶと、まやはギュッと拳を作った。

狼谷の言う通り、優しかった嘉門をこれ以上恨みたくない。

楽しくて幸せだった恋人時代の思い出を憎しみで汚したくない。

「――私、できますかね…?」

狼谷に呟くように聞いたら、
「まやなら大丈夫や」

彼は励ますように答えてくれた。

「まやならできるって、わいは信じとるから」

ポンと、肩をたたかれたその手は大きくて男らしかった。

「私、嘉門くんと話しあってみます」

自信を持って返事をしたまやに、
「その調子や」

狼谷は笑って返事をした。