世界にひとつのどこにもない物語

時計が昼を差した時、まやはすぐ下の階にあるコンビニへと足を向かわせた。

そこでペットボトルのストレートティーとカツサンドとサラダと白桃ゼリーを購入すると、ビルを後にした。

空いていたベンチに腰を下ろすと、
「いただきます」

先ほど買ってきたお昼を食べ始めた。

カツサンドとサラダを食べ終え、白桃ゼリーに手をつけようとしたら、
「――うっ…!」

どこからかうめき声が聞こえたので、まやは何事かと周りに視線を向けた。

「あっ!」

目の前で大きなお腹を抱えた妊婦が苦しそうにしていた。

「だ、大丈夫ですか!?」

まやは白桃ゼリーをベンチのうえに置くと、妊婦の元へと駆け寄った。