たくさん泣いて気持ちが落ち着いた頃、まやは静かに語り始めた。
「あの人――嘉門くん、って言うんだけど――10年前、大学2年生だった頃につきあっていた人だったんです」
狼谷は静かにまやの話に耳を傾けていた。
「必修科目だった英語の授業で隣の席になったことがきっかけで、嘉門くんとは親しくなったんです。
気さくで面倒見がよくて、誰に対しても話しかけてくれる優しい人で…私、初めて男の人のことを好きになったんです。
それまでも男の人から告白されたことはあったけれど…よくわからないと言うか、全くと言ってピンとこなかったから断ってたんです」
「それはつまり、告白してきた男の中でタイプのヤツがおらんかったってことなんか?」
そう聞いてきた狼谷に、
「たぶん、そうなのかなって思います」
まやは答えた。
「あの人――嘉門くん、って言うんだけど――10年前、大学2年生だった頃につきあっていた人だったんです」
狼谷は静かにまやの話に耳を傾けていた。
「必修科目だった英語の授業で隣の席になったことがきっかけで、嘉門くんとは親しくなったんです。
気さくで面倒見がよくて、誰に対しても話しかけてくれる優しい人で…私、初めて男の人のことを好きになったんです。
それまでも男の人から告白されたことはあったけれど…よくわからないと言うか、全くと言ってピンとこなかったから断ってたんです」
「それはつまり、告白してきた男の中でタイプのヤツがおらんかったってことなんか?」
そう聞いてきた狼谷に、
「たぶん、そうなのかなって思います」
まやは答えた。



