狼谷がマグカップを差し出した。

「インスタントで勘弁してや。

時間がないから本格的なもんは作れへんかったんや」

マグカップの中に入っていたのは、オニオンコンソメスープだった。

「コンソメスープ、好きやったやろ?」

ミルクティーだけじゃなく、コンソメスープを好きと言うことを知っていることに驚いた。

(どうして、そないなことを知ってるんやろ…?)

そう思いながら、まやは狼谷の手からマグカップを受け取った。

「熱いから気をつけてな」

そう言った狼谷に返事をする代わりに、首を縦に振ってうなずいた。

コクリと1口飲むと、たまねぎの甘さがしっかりと入ったコンソメスープが口の中に広がった。

それまで冷えていた躰が温かいスープのおかげで温まった。

「さっきは一体、どないしたんや?」

狼谷が声をかけてきた。