もしかしなくても、自分は狼谷の策略にまんまと引っかかってしまったのだろうか?

「なあ、それでええやろ?

それでええって言うてくれ」

狼谷が言ってくるので、
「い、いいですけど…」

まやは返事をすることしかできなかった。

(どうせ1日だけや。

たった1日だけや、住むと言う訳やない。

金のかからないホテルに泊まるとでも考えれば、それでええ)

まやは何度も自分に言い聞かせた。

「よかった…」

自分が返事したことがよっぽど嬉しかったのか、狼谷はホッとしたような声を出した。

「でも着替えがないので取りに行ってもいいですか?」

まやは聞いた。

さすがに今日と同じ服のままで出勤と言う訳にはいかない。