突然のように声を荒げて叫んだ狼谷に、まやの躰がビクッと震えた。

(な、何や急に…。

体調が悪なったかと思ったら急に怒鳴って…自分こそ、一体どないしたんや?)

「また火事が起こったらどないするんや!?

今回は無事だったからまだええかも知れんけど、次は無事とは絶対に限らへんのやぞ!?

ヘタしたら死ぬ可能性だってあるんやぞ!?」

「し、死ぬって何て物騒なことを言っているんですか!?」

早口で怒鳴っている狼谷に対抗するように、まやは怒鳴り返した。

「頼むから行かんといてくれ!」

「そんなムチャを言わないでくださいな!」

何故か感情的になっている狼谷に、まやは訳がわからない。

一体何が原因で、狼谷をそうさせているのだろうか?