「でもすごいですよね。

たまたま助けた妊婦さんの弟が『狼谷財閥』の副社長で、その彼にプロポーズをされるなんて、本当にすごいですよね」

カルボナーラを食べながら倉坂が言った。

「別にすごくなんてありませんよ。

私はそこに困っている人がいたから、その人を助けただけです」

そう言い返したまやだったが、
「またまたー、そうやって謙遜しなくてもいいですよ。

いやー、まさか天都さんの彼氏が『狼谷財閥』の副社長だったとは…」

倉坂はカルボナーラを頬張った。

「その…さっきから言ってる『狼谷財閥』って、一体何なんですか?

全くと言っていいほどわからないんですけど」

そう言ったまやに倉坂はカルボナーラを頬張った状態で目を見開いた。