世界にひとつのどこにもない物語

「そう言った案件は当銀行では受けつけておりません。

君が好きだからと言われても困ります、はっきり言って業務の邪魔です。

次のお客様がお待ちしておりますのでよろしいでしょうか?」

(早よ帰らんか!

はっきり言って願い下げや、ドアホ!)

微笑んでいるその顔を一切崩すことなく、まやははっきりと狼谷に言った。

「ぎょ、業務の邪魔って…」

「次のお客様、こちらへどうぞ」

狼谷をさえぎるように、まやは何事もなかったかのような顔で仕事を始めた。

「あまりしつこいようですと、警備員さんを呼びますよ?

早く帰られた方がお客様のためにもよろしいかと思いますよ」

フッと口元をあげて首を傾げるまやだが、その目は笑っていない。