世界にひとつのどこにもない物語

ツヤがあるサラサラの黒髪に、精悍によく整った顔立ちはまるで俳優のようだ。

自分も171センチと女性の中では高い身長を持っているのだが、彼はそんな自分も見あげてしまうくらいの高身長だった。

軽く180センチは越えているのかも知れないと思った。

そのうえスタイルもかなりよく、黒いスーツと白いシャツを着こなしているその姿はモデルのようである。

(人は見かけによらんものなんやな…)

そう思ったまやに、
「おおきに、自分みたいな心優しい人のおかげでわいの姉が助かりましてん!

ぜひともお礼をさせてください!」

男がまやの両手を握ったかと思ったらお礼を言ってきた。

「お、お礼なんてそんな…。

私はたまたまお昼を食べてて、その場に居あわせただけなので…」

(さわんな、このクソヤローが!)

まやは心の中で暴言を吐いた。