奇跡の瞬間




振り返ると清水拓斗が後ろにいた。


「なにか?」

「なんで、普通科に?」

「ちょっとミスっちゃって」

「特進科にくるよな?」

「私を誰だと思ってるの?」

「そうだよな…」

「1年後、楽しみにしてて」

「待ってる」


初めて話す感じじゃなかった。

特に詳しく話すわけでもなく。

ただこれだけで心が通じている気がした。

彼は私の腕を離し、特進科へ向かった。

私も普通科に通う。


「今の彼氏?」


気づくと隣に可愛らしい女の子が歩いていた。


「いいえ。」

「でも、意味深な話ししてたよね?」

「聞いてたの?」

「ううん?聞こえてきたの!」


リボンの色は赤。

だから同級生。

茶色の髪をクルクル巻いて、白い肌にピンクのチーク。

いかにも男の子が好きそうで守りたくなる感じの子。


「私、栗原歩美(くりはら あゆみ)。よろしくね?」

「私、花園瑠美。よろしく」

「美人だよね?花園さん…」

「そうかしら?」

「うん!そーだよ!きっと人気者になるよ!」

「ありがとう」


私と栗原さんが話していると青のリボンをした、男子が2人前から近寄ってきた。


「ねえねえー!俺たちが校内案内してあげようか??」

「えー、でも先輩忙しくないんですかー?」

「俺たちめっちゃ暇だから!君名前は??」

「私、栗原歩美っていいまーす!」

「歩美ちゃんかー!かわいいよねー!こっちは友達?」

「うーん、さっき話したばっかりなの!でもお友達だよー!」

「なら、俺たち共友達になろうよ!」


私は3人の会話をシカトして歩いていた。

3人は私の隣をついてくる。