「…今日も、始まる…」


目を閉じると浮かび上がるのは学校。


クラスメートよりも年上だからと引け目を感じてしまう日々。

だから私は学校があまり好きではないけれどアイが毎日のように迎えに着てくれる為、ズル休みはできない。


神様のイタズラなのかはわからないけど同じクラスだから尚更休めない。

私たちが通う高校はクラスが持ち上がりだからか、みんなは年齢を気にすることなく接してくれた。


それは、嬉しかった。

でも、その優しさは残酷だった。


「これも運命、なんですよね」


制服に着替え終わった私は通学鞄を持ってアイが待っているリビングへと向かった。


アイは、いつも余裕を持って低血圧の私を起こしに来てくれるので遅刻したことは無い。


「おはようツキ菜。早く朝ごはん食べちゃいなさい」


アイは、お母さんの手料理が気に入っているのか朝ごはんを我が家で食べることが多い。


アイのお父さん…つまり伯父さんは料理が大の苦手であるにも関わらず男手一つでアイを育ててきた。


ある意味すごい。


「お母さん、お父さんは??」


「俊之さんなら、もう仕事に行ったわよ」


アイがいるから逃げたな…お父さん。

昔はアイを息子のように可愛がっていたのに中学生になってから避けるようになっていた。


理由は教えてくれなかったけど。


「さあ、食べ終わったなら学校に行ってらっしゃい。食器の洗い物はしておくから」


お母さんは私の前では絶対に泣かないし毎日笑顔でいる。その笑顔に助けられた時もあれば反抗期になるという鬱陶しいとも思ったけれど


笑う門には福来る…というように笑顔でいることの大切さを私はお母さんから教えてもらった。


「「行ってきます」」


アイとの登下校は当たり前。

アイは女子からモテるけど近づきにくい雰囲気があるらしくて私以外だとクラスメートの砂月くんという男子としか話したりするところを見たことがない。


私からしてみればアイは人見知りで照れ屋なだけだから話しかけてみたら普通なんだけど、目の保養っていうのかな?遠くから見るだけでも良いらしい。


こういう幼馴染みがいると女子から反感を買うことが稀にあるけど、される前にアイが何とかしてくれているみたい。


実際に見たわけじゃないからわからないけど現場にいた砂月くんがそう言っていた。