私が蓮の事を“好きだ”と自覚するようになったのは、小5の宿泊学習の時から。本当はもっと前から好きだったけど、自分の気持ちに気づくことは出来なかった。


あれは、小5のクラス替え直後の宿泊学習の時。

バスの中では、

「今日から宿泊だねー」
「楽しみ」「恋バナしよーね!!」

という声ばかり。私は別に興味もなかったので、はぁ。とため息をついた。

あーぁ。1人か。誰か私の隣に座ってくれないかなぁ。
なんて、思っていると誰かが私の隣に座ってきた。
顔をあげると、落ち着ける人だった。

「蓮っ!友達は?」

「よお。俺1人余ったからここ来た。」

あ。そーなんだ。私の為とかでは無いみたい…。ちょっとだけ悲しいかな。

「あ、そーだ。高田がお前と話したいって。」

「高田…?」

「高田 麻李。 」

あぁ。あの子か、あのクール美人な子。友達にはなりたいと思ってたけど、私、人見知り激しいから話し掛けられないんだよね…

「どうして、麻李ちゃんが?」

「さあ?」

教えてくれないのか…。まさか、悪口とか、言われたりしないよね?そう思うと少し怖くなった。