人生の指針、みたいなものを誰かに作ってもらいたい。
そんなのが書店に売っていたら、きっと伝説に残るベストセラーになると思う。

それを読んだ人々は、迷い彷徨うことなんかなくなって。
世界はもっと、優しくなる気がする。

みんなみんな、それを望んでるはずなのに。


そんな本が売り出される気配は、まだない。





暑すぎる。うん。暑すぎるだろう、これは。
仕方ないと言えば、仕方ないけど。


梅雨も明けて、見上げれば嫌になるほどの青空。煌めく太陽。


サボるために来た屋上も、灼熱地獄で。
でも授業受ける気になんてなれなくて、陰一つない屋上の真ん中に腰を下ろした。

遮られることのない光が、容赦なく私に降り注ぐ。


この時間が初めての、サボりだったりする。
クラスメイトには保健室に行くと告げたあたり、私はへたれだ。
見付かって、怒られたくないんだ。
変なところで、真面目から抜け出せない。

私がどこにいるか、あの生物教師にばれる心配はないんだろうけど。
やっぱりどこか、そわそわしてしまう。


(日焼け止めしてても焼けそうだなぁ、)


なんて、そんなことを思いながら仰向けになって、目を閉じた。