第1章 #2《始まってすらいない人生》

異世界に行く前のアキトは高校2年生だった。

すば抜けた能力があるとか、女の子にモテモテの人生など、まったく縁がない。
毎日が同じことの繰り返しっていう環境で生きてきた平凡な高校生だった。

まぁ、人と違う点を上げるとすると、少しばかりコミュ障で、少しばかり、いや全く友達もいない世間で言う『ぼっち』というものだった。

幼い頃に両親が交通事故で死んだらしい。

その後、伯父に引き取られ両親のいない、学校生活を送った。
親の生命保険や財産は、以外とあり金銭面で苦労する事はなかった。 
だから、高校からは1人で暮らし始めた。
別に、無理やり1人暮しをさせられた訳ではない。ただ、1人になりたかった。
自分が周りと違うってことを意識していく内に人と付き合うってことが無くなり、他人と話すことが無くなった。

《異世界に飛ばされる当日》
全く聞いてない授業も終わり昼休みとなった。
あと2時間ある授業を

「退屈だな。今日の帰り道アニメ●トでも行こっかな」

なんて事を考えて、朝作ってきたご飯は口に入れながら窓の外をみる。

勿論、一人暮らしなのでたまには自炊する。
格別、料理は上手くないし、最低限の事しかで出来ない。

席は一番窓側だった。本当は隅の方に座りたかったが、後ろから2番目の席となった。

勿論、昼ごはんは1人、誰とも話すこと無く、ただ飯を食う。
騒がしい教室から聞こえる声。

「あの失踪事件からもう2年も立つね」

「確かに、みんな完全に忘れてるねw」

なんて、話し声が廊下側の席から聞こえる。

2年前、生徒が突然失踪した。
その生徒は、普段から色々としていた。イジメや恐喝まがいな事を日常的に繰り返してたのだ。以外に頭も切れていた。

そんな時、失踪事件は起きた。
失踪事件が起きた翌日、先生から生徒に報告があった。
「昨日、●年●組●●君が失踪しました。心当たりがあったら先生に言って下さい」
そんな報告があった直後、生徒はどんな反応をしたと思う?
誰1人として悲しむことなく。中には微笑む人までいた。

そういう世界なのだ。人が死んだら悲しむ事もあれば、気づかれないまま孤独死という状態で死ぬこともある。
ましてや、人の死で喜ぶことも…

「あいつは、悪いことばっかしてたから消えて当たり前」

そんな言葉も耳にした。
その時、俺は思い知った。

「俺が死んだら悲しむ人は居るのだろうかと…」

初めて、人間から恨みを買う怖さをしった時だった。
以後、ろくに人と接してない。

俺は、そんな事思い出しながら昼ごはんを食べ終わった。

そして、2時間の退屈な授業が終わり下校する時間となった。
風が吹くなか、ポケットに手を入れて下校してると。

また嫌な会話が聞こえてしまう。

「同じクラスの●●ちゃんってさ、可愛いけど性格悪いよね〜」

「確かに〜」

なんて、女子高校生の会話が飛び込んでくる。

「人の愚痴を平気で、人に言う奴の方が性格悪いだろ」

なんて、思って。
人間とは全てが全てとは、言わないけど所詮こういうものなのだ。

俺は、裏道から帰ることにした。
裏道は、道は狭く少し遠回りにはなるが人が居なくて、寄っぽどいい。
勿論、学校では良いとはされてないけど、もう8割くらいこの道を通って帰ってくる。

少し歩くと、急に頭痛がした。
立って居られない程の頭痛で、強力なめまいがする。
フラフラしなが倒れ込んだ。
辺りが突然暗くなる。
その瞬間、俺の記憶は途絶えた…