「好きな人?」


「…はい、好きな人。」


嘘では…ないよね?


“今は”いないけど、“前は”いるし。


甲田くんはジーっと私を見たあと、島松くんを押し退けて、私の目の前に来た。


そしてゆっくりと距離を詰めてくる。


あまりの威圧感に私は後ろへ下がる。


遠目に島松くんがため息をついているのが見えた。