不器用な彼に恋した私。

恐る恐る液晶の“通話”に触れた。
緊張で手に汗がにじむ。


ガチャッ。
っと電話越しで聞こえたと思いきや。


――― 留守番電話サービスです。
マジかよ!?
緊張で手が汗で滲んでるっていうのに留守番電話サービスだから尚更ショック!


…。
まぁ、出るわけないよね。
私はあきらめて、耳からスマホを離そうとしたとき。

“はい。”
と慌てて出たような声がした。
いつもの、声。翔さんだ。


――― すいません、番号が知らないのですが。どちら様でしょうか。
「あ…あのぉっ!!」


慌てて出た声。
それに反応するように電話越しで“っ、”と驚いた翔さん。

“井上っ、ど、どうしてお前が知ってる!?”
「いや、あのー…カコに教えていただきまして…」


――― そうなのか…で、本題は?何か電話番号でも知る必要がある位急用だったんだろ?


いや、急用って程急用じゃないんだけど…。
目の前で座るカコが、ガッツポーズ。
そ…そんな…無理でしょ…。


――― …。切るぞ。
「あぁ!!いや、待ってください!!とても重要なことなんです!!!」


――― なんだよ。早めにしてくれ。んんっ。

咳払い。
翔さん、最近、私の目の前でやたら咳をする。
きっと風邪の引きはじめなのだろう。


そんなどうでもいいことを脳の片隅においておいて。
私は本題の“アレ”を。



息を深く吸い込んだ。







「あのっ!!私とデート、してくれませんか!?」
――― …グホッ!!はぁっ!?


翔さん、電話越しで何かを吹き出した。
電話越しで“大丈夫?翔くん。”と聞いたことがあるような、ないような。
そんな男の人の声が聞こえた。


「お願いします…プラン等は、私が立てるので…。」
――― そんな無駄なこと…。



“無駄?”
すっごいその単語に腹が立った私は、たぶん触れてほしくないであろう、あのことに触れてしまった。


「無駄なことって!!この間のお礼と思って付き合ってくださいよ!!!」


あちらは黙り込む。
そりゃぁ、そうだ。
あまり、触れてほしくないところだろう。
いつも、二宮がいう、傷ついた傷に塩を塗るようなことをしているだろう。


冷静に考えてみて、私は謝るべきだと思った。

「す…すいません。」









――― いつ行くんだ?