不器用な彼に恋した私。

いつもそうだ。
静かな時にそう、決まってやってくる。


腹の空腹時になるアレ。
これで、何回も私は赤裸々な思いをしてきた。


テストの時も。
面接のときも。
好きな人と一緒にいるときも。


もちろん、今回と同じように告白する際にも。





さて、私のブラックリストを開くとするか。
小学生時代のあだ名は“腹の音”。
いつも静寂時になる空腹時の音は、いつも私をドキドキさせ、時に恥ずかしい思いをさせた。

中学生。お年頃の季節だ。
そして、朝練がある。だから、決まって4校時には盛大なお腹が鳴っていた。
そのお腹の音のせいで青春は謳歌できず。


高校生。
ついに私の初恋相手。名前はケイ君。
サッカー部で、可愛い系男子のケイ君は、同性異性関係なく人気者だった。
だから、その憧れのケイ君に告白した。


が。
その時になってしまったお腹の音で全力で引かれた。


で、大学生。
フツーに合格して、フツーにキャンパスライフを過ごしていたはいいが。
初の恋人ができた、というか告白された。
騒がしい中。軽音サークルのフジキさん。


だけれども。
これから甘ーい夜を過ごすというのに。


キスしているときに鳴った、お腹の音。



“今のー…Bだね。シ。いい音だ。”
って言われたので、茶化された感じがして別れた。





で、今に至る。
ほとんど、blackの記憶にはお腹の音が関連するから。
もうお腹の音、どうにかならない!?って胃腸科の人たちに頼み込みたいくらいだ。
でも至って元気な私の体。

ということは、運がないということか?


翔さん。
バージンロードで笑い転げる。




こっちが恥ずかしくなってくるんですけど!!!
でも、翔さんは寝転がったまま私を見ながら言った。


“井上のそういうところも、好き。”


そういうところも?
好き?


「好きぃぃぃぃぃぃぃ!?」
「あ…いやいやいや!!!」


「いやいやいや!?」


“あーーーーー、もうそういうことじゃねぇよ。”
真っ赤な顔して立ち上がった翔さん。



“…好きとかいえねぇ。”
ぷーっと頬を膨らませる。



「わぁ、リス…」
「リス?」


翔さんあちこち、回ってはん?と顔をしかめる。
“リス”はあなたです。

その膨らませた時の愛くるしいかんじ。


もう、最高です。


「翔さん、ご飯食べに行きませんか?」


翔さんは言った。
“無理だ。
明日のスケジュールを考えなければいけない。”