不器用な彼に恋した私。

―――― 今回の人はね、高木翔。
元カレなんだけど、家柄良くて。かなり指輪とかにお金かけてもらってる!
後で売り飛ばして、さっさと離婚しようと思ってるー。
多分、総額1億は超えるんじゃない?ハハハハッ!!


高らかな声が私の突き上げた右手の先から聞こえてくる。



ユイカさん、力を無くしたようにへなりと座り込む。








「どうでしょうか…、そう新婦は結婚詐欺者です。
2度も繰り返す、心身ともに弄ぶ行為はあまりにもひどすぎると思いませんか。」

そう、挙式が始まる15分くらい前。
優子さんスタイルの優さんが、誰もいない待合室で私にテープレコーダーを渡した。

“これ、最後のとどめだから。
重役頼んで申し訳ないけど、素直な気持ちを言えて且つ、これまでのもやもやを発散できると思うんだよね。”


もう、私しか頼る人がいないと言わんばかりに目力からの強い瞳で穴が開くくらい見つめられた。
ここの挙式の参列者にも何人か警察関係者がいるらしい。


やがて、周りは私の声に黙り込む。
なんか、正義を貫いたドラマみたいな刑事を演じているみたい。



「はいはーい!私も異議がありまーす。」
優さんがオカマのまま、私と同じようにバージンロードから出てきた。
我が社の社長が、“優子ちゃん!”と目をハートにさせるが、次の瞬間、優さんは素早く、まるで早着替えかのようにスーツに身を纏ったイケメンになっていた。


「優!?」
「ごめん、翔。
あの新しい、事件ってやつ、結婚詐欺なんだよ。」


事前から準備がいい優さん。
ヒールからいつの間にか革靴になっていた。

逮捕状を片手にバージンロードを歩いてくる。


「逮捕状だよ★ユイカちゃん?」


優さんは、肩をこわばらせていた私の肩を抱き寄せる。
“ありがとな。”そうアップスタイルでキメた頭に囁いた。


「翔、藍ちゃんに感謝しなよ。」





***
結局残念な結果に終わってしまった挙式。
34歳の花嫁、三度目にしてようやく結婚詐欺で逮捕された。
だまし取った金額は5億。

彼女も反省しているとの様子。
すっかり日が暮れるころ、警察車両に入っていく如月さんを見た。


「井上ー。お前、すげえな。」
「ん?」

“やー、浮かれたフグでもあんなにしっかり異議出来るんだな。”

「フグは余計じゃありませんか?」


二宮は、ソーデシタソーデシタと、棒読み。