不器用な彼に恋した私。

日曜日。
その日はやってきた。
待っているわけでもないのに…、

日曜日という名のXデーがやってきた。
私、どんな顔すればいいんだろう。
チャペル入り口で挨拶する翔さんの大学時代のお友達だと思われる方が、ペコペコ礼をしながら結婚祝いの祝儀袋を受け取っている。

胸元のリボンとフリルが可愛い、真っ赤なドレスの短い裾を思わず握った。
どうして、こんなお呼ばれドレス、買ったんだろう…

2万9000円返せや。
とか内心思っていながら、どうしよう…やっぱ、引き返そう。


翔さんの幸せなところを見たくないわけじゃない。
そういろいろ思っていた時、誰かに肩を捕まれた。


ガシリとしている。



これは…

「あら、可愛らしいお呼ばれドレスですね。」
「ゆ…優さん…、驚かせないでくださいよ。」

“あはっ、悪い悪い。”
天使は悪い悪いと言いながら、ボイスレコーダーを突き出してくる。
天使はキャバ嬢のようなドレスを纏う。


「あの、優さん。」
“そのボイスレコーダー、なんですか…?”
そう尋ねようとしたとき、潤さんはまじめな声色で私に言った。


“最後の任務、というか協力、してくれる?”







最後の任務はかなり重役だった。
オルガンの音色が鳴る中、私は周りの人が立ち上がってなぜか新婦だけの登場を拍手で送りながら、最後の重役にお腹を痛めていた。
そして、一向に振り向かない翔さんの白いタキシードの背中を見ていた。



最後の重役。



それは、式の邪魔をする嫌われ者役。


「おい、井上。ちゃんと拍手しろや。」
「ちょっとお腹痛い。」

ワックスで髪をいつもより整えてるスーツ姿の二宮がバシバシ私の背中をたたく。
“こんな時に下腹部ゲリラとか。本当、人の不幸を望むやつだな。”


後で覚えとけ。
そう睨み返していると、もう新婦の綺麗な如月さんが…

いや、もう今日から高木さんなのか。
まぁ、とにかく綺麗な花嫁姿を見せた派遣社員の子はそっと翔さんに微笑む。
翔さんも答えるように笑った。



カタコト神父は、私たちに向かって言った。

「ワタシタチハ今、翔サントユイカサンノ…wedding。
エェー、結婚式ヲアゲヨウトシテイマス。」


weddingにはびっくりしたのか。
周りではクスクス、と可愛い勘違いに笑う人も。

そこから10分くらい神父はありがたーいお言葉を述べた。
二宮は完全にその間は寝ていたが。


神父は有り難いお話の後に続いていった。