不器用な彼に恋した私。

112分間の上演時間後。
これまた、お上手すぎる泣く演技をした潤さんは、翔さんと広告モデルの話について話すために、カウンター式になっている机で紙を広げながら会議を始めた。




気まずい。
私、テレビ前で正座するが後ろのソファに座る如月さんが気になって気になってしょうがない。
「ねぇ。」


「はいいっ!?ナンデショウカ。」
「私より年下ちゃんだっけ?何歳?」

“25歳、アラサーです…。”
と呟けば、あははって笑う如月さん。
豊満バストが笑ったときに揺れた…。。

二宮だったらたぶん、食いついてみていただろう。
“目の保養になるなぁー”とか言いながらね。



「そっか、私もう34歳。」
年上アピールをちゃっかりする如月さんに驚き。
やはり整形していると年上でも同世代か、下の世代に見えるのだろうか。





「お若く見えました…失礼ですが、年下かと。」
高らかに笑う如月さん。
なんて謙虚じゃない人なんだろう。

とかちゃっかり、完ぺきなルックスから内面の欠点を見つけていた。


「よく言われるんだけど、ウチの恋人の翔と同じ大学卒業してるの」

“うちの恋人”が引っかかるが、無視無視。
黙ってニコニコ。本音と建て前を綺麗に使い分けるのだ。

「大学時代から新入社員として働いているとき、一時期翔と付き合ってたんだけど、一回私が“仕事と私どっちが大切なの!?”って言っちゃって。笑
1回別れたんだけど、秋田の資産家の方と結婚することになっちゃって。
地元だった秋田のほうにいったん帰って結婚生活送ってたんだけど、またそこでも問題があって…」

“結局2回離婚。笑”
って笑うユイカさんに尋ねてみた。

「その“問題”とは…?」


一瞬顔を歪めた如月さんは、表情を戻すのも一瞬だった。
“それは話せない。”



「そうですか…。」
「でも、三度目の正直。」


私に左薬指を見せつけた如月さん。
幸せそうに微笑んだその小さな顔の横には、



婚約指輪。



「え、ご結婚されるんですか?」
「そう、三度目の正直。
絶対に幸せになろう、って思ってね。」








背中が凍り付いた。



「翔と私の祝いの席、絶対に来てね!」




…ヤダ。
翔さん…どうか騙されないで…。