不器用な彼に恋した私。

「まぁ、結構男時代の私も、幼少期は女の子の服を着せられるほど、女の子っぽくて。学校に異性からのファンクラブは作られるのは構わないけど、その分同性から嫌われてた。」

やっぱりその笑みから想像したら美少年しか想像できないわ。
そんな笑みを浮かべる横顔を見ていた。


「でも、これでも私、男性が好きなわけじゃないの。」
“え?”
思わず、疑って声が漏れる。


“気づいてる。藍さんと翔くんが恋人だってくらい。”
「どうして…それを…。」
「オカマの勘…ってやつかな?」

唇のほくろが見えた。
グラマラスな人だな、って遠くで思いながら優子さんの天使すぎる笑みを見つめていた。


「あの時はごめんね?でも、二人が燃え上がるといいなー…って思って仕掛けた。」
計算高い人は、この世に翔さんだけかと思っていた。
優子さんは、キラキラな大きな目で“安心して”と言わんばかりに微笑んだ。

でも、その表情は刹那だった。
今度は暗い表情へと変わった。

「でも…最近、派遣社員の子、来たでしょ?
如月ユイカっていう子。」
「元カノだっていううわさは知ってます…」



なんでそんなに知っているのか、よくわからないが、とにかく社内事情に詳しい優子さん。
結構深刻というより、ヤバそうな表情。



ゴツゴツの手がもうちょっと寄れと招く。
コソリと呟いた。その言葉は、2丁目語でいう“ヤバめーー!!”


「あの子、結婚詐欺の常習犯。
もう、2度ほど異性の心身を弄んだ人で、逮捕状が出てるんだけど…
金をとってはその金で整形してるから、身元が判明しなくなってきてるらしい。」


「どうして…そんなにお詳しいんですか…」



優子さんは、“怪しいわよね。”とまたまた天使スマイル。
ドレスのポケットから何やら名刺と思われるものが…。


さっきのゴテゴテした名刺とは一変、
超無機質な文字に、白い背景色。


「嘘ついてごめんね…実は、こういうもので。」


“刑事課 松本優”

…ん?

警察の方?




「すっごい、カミングアウトしちゃうけれども。」

至近距離、整った顔が近づく。
ズレたらすぐにキスしてしまうくらいの近さ。


「なんですか…。」
「実はこうしてるのも、潜入捜査に踏み切ったから。」


優子さん…いや優さんは、ドレスやカツラを取り始めた。