不器用な彼に恋した私。

***
「やっと終わったな。」
「終わったね。」

札幌市内の夜景を見ながら、しみじみ思った。
ホテルの最上階。
夕食は札幌ラーメンだったけど、お酒が飲み足りない私達は、オシャレなバーで飲みなおす。
二宮はラーデベルガーピルスナー。私は、ドライ・ジンがベースのマティーニ。

「やっと終わったわー・・・。もう俺ね。帰りたい。」
「ホームシックですか?」


まぁ、そういうもんだ、とグラスの縁をなぞりながら二宮は言った。


「たぶん、カコの野郎は今頃、1人寂しくランチ食ってんのかなー。」
ケタケタケタ。
肩を揺らしながら笑う。

「いや、寂しくて鈴木ちゃんとこで食べてるんじゃない?」
「あ、あのバカがいたか。笑」



バカって!!かわいそうだなー、鈴木ちゃん。
なんて内心思いながら、マティーニを飲む手が進む。






そんな他愛ない話を4時間ものしていると、バーも閉店時間を迎えていた。
初めてのマティーニに慣れなかった私は、酔いでもうまともに歩けなくなるほど。

二宮に担がれるまま、私は唸る。
「んんーーー、あーーもう!!!唸んなや!!うるせぇ!!」

ピカピカの床。
シャンデリア。
罵声なんて似つかわしくない場所で二宮は罵声を上げる。


「罵声をあげるなー・・・二宮っ、くらえ!締め技!!」
腕を交差させて締め技をかける。
想像していた通り、おえー!!やめろ!!と抵抗する二宮。


ふらつく足の中。
二宮が私が締め技で絡めた腕を解いた時。
ふらついてそのまま倒れ・・・






なかった。
二宮が二の腕プルプルさせながら、私を抱きとめる。

「酔っているのは分かるが、
お願いだからしっかりしてくれ。」
「んふふふー・・・、じゃあおやすみー。」


「おいー!!寝るなや!!起きろ!おい!フグー!!」



それ以降の記憶はございません。






土曜日、朝。
二の腕の筋肉痛に悩まされながら起きたという二宮は、超不機嫌になって私に言った。

「ふざけんなや!!マティーニとか大人ぶるからそうなるんだろ!?
この、フグ!未完全成人のフグ!!」

ホテルから出た瞬間、この罵声だ。
北海道、出張。

ある意味、二宮と一緒でよかったのかな・・・?
多分、きっと翔さんと行ってたら、気まずいから倍以上疲れてたと思う。
怒り顔の二宮に心底思った。


“ありがとう。”

助かったよ。