不器用な彼に恋した私。

「はぁー・・・、やっぱ変えられませんね。」
「ごめん・・・、二宮。」

「あぁーもう!!謝んなや!!切ないオトコゴコロを分かってくれ!!」


ぐしゃぐしゃぐしゃー!!
って効果音が似合うくらい、髪の毛を雑に掻く二宮は私に背中を向けた。
元々華奢で小さな背中だけど、いつもより背中が小さくなっているような気がした。


その、背中に“許してくれ”と抱きしめた。
鼻セレブでチーンする二宮。
透き通った瞳から大粒の涙が出ては零れていた。


「路線は変えられないけど、泣きたかったりとか、辛かったりとか。
そんなのがあるなら、私が受け止めてあげるから。
ね?それで許してよ。二宮。」


ぐじゅぐじゅ、と鼻を啜る音がする。


「じゃあさ、受け止めてくれんなら。路線変えられないのなら。
もうエンジン切れそうなのさ。走る、その燃料頂戴よ。」

燃料って?


「待って、ガソリン持ってない。」
「バカか、アンタ。」


“接吻だよ。キス。”

振り返った二宮は、頬に涙の痕跡を残したまま、そう言った。



「このキスだけ。もう、何にも求めないからさ。お願い。」






ウルウルの瞳が私を見つめる。







そして・・・近づく顔。
至近距離、そして触れた唇。

お互い、同じもの飲んでたのか、ビールの味がする。
苦くて、苦いだけの味。









「もう一回・・・。」

かすれた声を出した二宮は、また唇を重ねる。
頬に手を添えて、涙が私の頬にも伝う。







「んんっ・・・んんー!!」
パッと深く繋がっていた唇が離れた。


“色気ねーな!!”
と笑った二宮は無理して笑っているような気がした。







「今まで通り、だ。これで。」
「そうだね。」


飲みなおしますか、と缶ビールを差し出した二宮。
差し出した缶ビールを開けて飲みなおした。



午前3時57分。



***
「じゃあ、また来まーす。」
「来るなや。」


わ、冷たっ。


「嘘だし、じゃあ、北海道出張で。」

玄関先。
扉を少し開けて、さよならを告げた。
もうすぐで日が昇る。
そんな夜と朝の狭間の風が吹いた。


少しあいた扉から色素の薄い瞳が見つめる。


「早く行けよ。フグ。」
「うるっさいなー、犬!」

犬!?、とすっとんきょう。

「犬っぽいからね。」
そう説明したら、二宮がワンワンっ、て目を細めて笑いながら言った。