「…桜かぁ。今日の日にピッタリの名前だね。

桜、こちらこそ よろしくね。」


えっ?

いきなり呼び捨て?


そう思ったけど…

お日様に照らされて、茶色く透けた柔らかそうな髪と、優しく人懐っこそうな笑顔を見ていると、そんな事どうでも良く思えてきた。



この笑顔はいいな。

こっちまで笑顔になる。



そう思っていた次の瞬間…

私は動けなくなった。


【動けないような気がする】


ではなくて…本当に動けなくなったんだ。



だって…

いつの間にか…

彼…橘くんに抱き締められていたから…。