桜の花が咲くころに


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「ごめんなさい。まだアナタのこと良く知らないので、付き合えません。」


千草とりっちゃんと話した次の日、美術棟へ向かう渡り廊下へ呼び出した橘くんに向かって、私は深々と頭を下げていた。


「うわぁ~傷つく~。」


すると橘くんは、大げさに頭を抱え、嘆いてみせる。


「いやいや。しぐさは大げさだけど、全然傷ついている様には見えないから!」


私が鋭くツッコミを入れると


「あっ…バレた?」


そう言うと、彼はニッコリ爽やかな笑顔を浮かべた。



ドキッ



何だよ!その笑顔!可愛いじゃないか!


「ばっバレた?って言うってことは、やっぱり王子は私の事なんて、好きじゃないんでしょう?

ただ…からかっただけでしょう?」


すると…またあの表情…。




笑顔なのに、どこか悲しい。


こちらの胸までもギューッと苦しくなる…切ない微笑み。





「……王子じゃ…ないよ…。」