桜の花が咲くころに


長い長い入学式を終え、ホームルームという名の自己紹介を終えた後、


「桜~!途中まで一緒に帰ろう!」


私の席にりっちゃんが駆け寄って来た。


「いいよ~あっ!でも…」


そう!私、千草に話の続きを聞きたかったのよ。

千草の方を見ると、通学バッグを手に取り、今すぐにでも教室を飛び出しそうな体勢だった。


「千草は どうする?」


話を聞くついでに、この2人も仲良くなってくれたら、嬉しいなぁ。

すると微笑んだ千草が、りっちゃんの方を向き、


「一木律子さんだったよね♡律子って呼んでいい?私の事も千草って呼んで!」


「うん!よろしく千草!千草の自己紹介の時、男子がソワソワしてたのが分かるくらい可愛い〜!これから宜しくね!」

りっちゃんの言葉に、更に千草がニッコリ笑う。


「うん♡よろしく~!今日2人目のお友達が出来た!嬉しいなぁ♡

あっでも…ごめんね。今日は彼氏と帰る約束をしているの。また今度一緒に帰ろう?」


「え?彼氏かぁ~いいなぁ。分かった。じゃあ今度3人で帰ろうね~」


「うん!じゃあね~!」


そう言うと、千草は私とりっちゃんに手を振り、猛ダッシュで教室を出て行った。