桜の花が咲くころに


「え?そうなんだ。私…てっきり…。」


「そもそも私、彼氏居るの。ここの高校の2年生。

彼氏を追いかけて、この高校を選んだんだ。ちょっと不純な動機だけど、それほど好きなんだから、しょうがないわよね。」


そう言った千草は少し頬を染めて微笑んだ。

その笑顔がとても幸せそうで、本当に彼氏のことが好きなんだと伝わってくる。


いいなぁ。

私も高校で千草のような恋愛が出来るのだろうか?

温かい気持ちで、千草の話に耳を傾けていると、ハッとした素振りで話を元に戻してきた。



「とっ…とにかく王子がモテるのは、間違いないのよ。

私の場合は、性格的な部分が好き…というだけだったけど、やっぱり恋愛感情として王子のことを好きな女子も多くて…。

でも…どんなに王子のことを想っても…無理なのよ…。」



【無理なのよ】



「え?無理って…「こら~後ろ~喋るな~!」」


私の問いかけは、先生の声に遮られ、最後まで聞くことが出来なかった。




【無理】って…どういうこと…?