複雑な鉄のゲート。
生徒が近づいた瞬間カチカチと音をたてて、扉を開く。
一枚、二枚目、三枚目。
アメリカの突入部隊も真っ青なくらいの厳重さ。

ようやく入り口が開かれると、
脇に警備員さんがお辞儀した。

「おはようございます。」

生徒たちもおはようございますと通過していく。

そんな中、
辰岡さんがツカツカと歩みより、警備員に言った。

「来校者一名、入校許可をいただきます。」

警備員さんは朗らかに笑う。

「彼はもう我が校の一員でしょう?
入校許可は要りませんよ。」

「まだ彼は入学することを決めてません。
今日は彼に入るか辞退するか決めてもらうためにここに来てもらってるの。
あまりプレッシャーをかけるような真似は出来ないわ。」

そうですか、では…と警備員さんは僕を見る。

「許可します。
斎藤くん、今日はごゆっくりとお楽しみ下さい。」

「ありがとうございます…」

まさかここまで名前が広がっているとは……