「…っ、沙優!」



また、彼の私を呼ぶ声が聞こえる。




もう振り返れない私は、足だけを止めた。





「俺、諦めてないから…!また1ヶ月後、戻って来るんだろ?絶対会いに行くから、その時また俺の気持ち聞いてくれよ」



強い、強い意志の篭った声。




涙が溢れそうになるのを必死で抑えた。



あぁ、私はいつまで経ってもこの人の事を忘れられないんだろうな。





───神様、もう一度彼の姿を見ることを許してくれますか。





振り返った私は、荷物をその場に置いて彼の元へと駆け出した。