「沙優…っ!」 あぁ、こんな時まで彼の声が聞こえちゃう私ってどうかしてるのかもしれない。 自分から離れといて忘れられないなんて。 「沙優!」 もう放っておいてよ。 「沙優!おい待てって!」 ────グイッ 「…っ!……え?」 ここでようやく、幻聴じゃない事に気が付いた。 目の前にいる彼が、幻覚でないのなら。 「しゅ…と?なんで…っ」 目の前には、私の忘れられない人の姿。 肩が上下しているのを見ると、走って来てくれた事が物語られる。