最後にあなたの唇を





「…っ、嘘だろ」



部屋中から、沙優の物がなくなっていた。




服や化粧品はもちろん、コップや歯ブラシまで。




唯一残っていたのは、ドアポストに入れられたこの部屋の鍵とテーブルに置いてある1枚の紙だけ。







『 修斗、今までありがとう。さよなら。』





「っ、沙優…、」





あまりにも綺麗な文字で、シンプルに。



この紙1枚で、完全に関係を切られた気がした。







後悔?


そんなの彼女が出て行った日からずっとしてる。




…いや、澤野先生と関係を持った日からと言った方が正しいか。






謝ったところで、いなくなった沙優はここにはいない。




…連れ戻す。




────そう決意した俺の意思も、次の日には打ち砕かれることになる。