最後にあなたの唇を





沙優と同棲して、すれ違いが増えた。



お互い話すこともなくなって、気付いたら俺は「行って来ます」も「ただいま」も言わなくなっていた。





自分でも何とかしなきゃと悩んでいた時に相談に乗ってくれたのが、俺の指導医の澤野先生。



女性ということもあって、女性視点の考えを知りたくて彼女の相談をしていたんだ。




最初は、本当に相談だけだった。



けど、"相談"と称して食事に行ったりするうちに、沙優とは違う大人の女性への魅力に惹かれている自分がいた。




それは澤野先生も同じだったんだと思う。



今はいないが、これまで付き合ったのは年上の男性だけだったという。


つまり、俺のような年下の男に興味があった。





…まぁ、綺麗に言えばそうなるけど、悪いのは確実に俺の方だった。



「好き」こそ伝えてはいないが、段々と澤野先生との曖昧な関係が進んでいったんだ。