最後にあなたの唇を






途端に蘇る、修斗と女の人との光景。



それを思い出してしまって、愛おしいはずの人に触れることができなかった。






「沙優…?どうした?」



一度伸ばした手を引っ込めたからだろう。


不思議に思った修斗は、優しく私の名前を呼ぶ。




なんで、そんなに優しく呼ぶのよ。


他の人とキス…してたくせに。





時計を見れば、時間はもうとっくに日付を越えていた。




「…今帰って来たの?」


修斗がこの時間に帰ってくることは別に不思議じゃないし、よくある事。



なのに、あの光景を見てしまったからか、こんな時間まで何をしていたのかが気になってしまう。




けれど、修斗はごく普通に、当たり前のように「そうだよ」と言っただけだった。