君が教えてくれた初恋。

いつの間にか吉村くんは私の隣で眠ってしまっていた。

「おーい、もうすぐ着くから周りの寝てるやつ起こしとけよー。」

「吉村くん、もうすぐ……」

起こそうとした瞬間。
吉村くんと目が合った。
綺麗な澄んだ瞳が私の顔をとらえている。
吉村くんの顔をこんなに間近で見るのは初めてだ。
今まで気付かなかった発見がたくさんある。
目の下にある小さなほくろ。
くっきりとした二重まぶた。
鼻の横にある小さなニキビ。
笑う時にできる涙袋のあと。
長いまつ毛。
あらためて見ると、とても整った顔立ちをしている。

吉村くんって、こんな顔だったっけ…?

友達なら当たり前のように知っていることを、少し知れただけ。
なのに、なぜだろう。
私だけが知っている吉村くんの秘密、そう感じてしまう。
目を、そらしたくない。
このままずっと、見つめていたい。

「杉本さん、顔赤いよ?」

「え、いや、ごめん、なんでもない、大丈夫!///」

そう言った吉村くんも、少し顔が赤くなっていた気がする。
たった数秒のことだったが、何分にも何時間にも思えてしまった。