「…………っ」

1時間くらいしか寝てないつもりだったが、もう2時間も経ってしまっていた。

「あ、そういえば薬…!!」

「お、起きた?はいコレ、買っといたよ。」

吉村くんが渡してきたもの、それは酔い止め薬。
トイレ休憩中、私が寝ている間に買ってきてくれたようだ。

「え、あ、ありがとう!起こしてくれれば良かったのに…」

「えーでもあんな気持ちよさそうな眠り方されたら起こせないって。」

「え、ど、どんな感じだった?」

「こんな感じー。」

吉村くんが見せてきた写真。
そこには、口を開けて寝ている私の顔が写っていた。

「え、ちょ、え、嘘、私こんな顔してたの!?」

「あはは、杉本さんが口開けて寝るとか意外すぎて写真撮っちゃった。」

「えー消してよー!恥ずかしいじゃん!///」

「やーだね!てかさ、やっと俺と目合わせて喋ってくれたね。」

「え……」

「杉本さんって男子と話すの苦手だよね?」

「うん……」

「やっぱりね。でもさ、さっき写真見せた時は素の杉本さん見せてくれたじゃん。俺ちょっとは壁壊せたかな。」

確かに、今は緊張せず普通に会話できている。
吉村くんの目をまっすぐ見て話すこともできている。
初めての感覚。
でもやっぱり目を見て話すのは少し緊張する。
でもこの〝緊張〟はいつもの緊張とは違う。
この気持ちはなんだろう。
ちょっと恥ずかしさも混ざった、胸が熱くなるような気持ち。

「私、吉村くんとなら普通に話せるかも。」

「え、なんかそうやって言われると〝特別〟みたいで恥ずかしいんだけど。」

「うん、〝特別〟だよ?」

私は今、何と言った?
勢いにまかせてとても恥ずかしいことを言ってしまった気がする。

「あ、え、うん、ありがとう?///」

その後は、何故か気まずくなってしまい、会話も少なくなってしまった。
今までの私なら、男子と話をしたいなんて思うことはなかった。
でも、今は、吉村くんと話をしたい。
もっと、吉村くんのことを知りたい。
何故こんな気持ちになるのだろう。
こんな気持ち、初めてだ。