「あっ、伊吹」
本当は伊吹が来ないかと期待して公園のベンチに座っていたくせに、わたしはワザとびっくりした風に彼の名前を呼ぶ。
「あ、じゃねえよ。危ねえだろ。もう暗いのに。公園に居るんなら、連絡しろ」
「えー?大丈夫だよ?だってもう17歳だもん」
「お前は精神年齢が幼稚園児だから、危ねーだろ」
「はいはい。じゃあ、伊吹ちゃん、幼稚園児なわたしをどうか送って行ってくださいな」
「あー…ハイハイ」
17歳の癖に15歳の彼に送って行けというわたしに呆れたように彼は頷いた。
伊吹は絶賛、反抗期だ。
だって口が悪いもん。
昔は"双葉"って可愛らしい声変わり前の声で呼んでくれたのに、いまは"双葉"よりも"お前"って呼ばれる。
…年下のくせに生意気だ。

