わたしは暇になると、伊吹の家との間にある小さな公園に行く。

今日もそうだ。
高校が終わると、教室で1時間くらいお喋りをして、その後バスに乗って。
家の近くのバス停で降りたくせに、カバンを持ったまま公園へ向かう。



遊具といえばブランコくらいしかないしょぼい公園だけど、手入れしてくれている人が居るらしくて、冬のこの季節にも花壇には、三色のアネモネが咲く。


赤いアネモネと、白いアネモネと、紫色のアネモネ。
紫色のアネモネは、「あなたを信じて待つ」っていう花言葉。公園にきたときのわたしの気持ちと合致するなんて考える。馬鹿馬鹿しいとは思うけどさ。


花壇の横には、綺麗なベンチが有ってわたしはそこに座って、ぼんやりと考える。

7時前くらいの公園は街灯が付いているとはいえ、少し暗い。
真上にはお月様が爛々と輝いていて、少し胸が締め付けられる思い。…情緒不安定?



「おい、双葉」