独り占めしてもいいですか…?【完】

「千景くんはみんなに優しいのよ。葵さんだけ特別ってわけじゃないから。そこのところ覚えておいてね?それじゃ」





早乙女さんは勝ち誇ったような表情で、空き教室を出て行った。





私はその後ろ姿を見送ることしか出来なかった。





「…そんなの、私が、一番分かってるよ…っ」





空き教室に一人残された私はぽつりとそう呟いた。





千景が誰にだって優しいことくらい知ってる。





誰かを特別扱いしないことだって知ってる。





私のこと、なんとも思ってないことくらい、分かってるよ…





全部…っ、全部、知ってるよ…





調子になんて乗れるわけ、ないよ…





改めて現実を突きつけられたような感覚だった。





分かっていたことだけど、自分じゃない他の誰かに言われると結構きついなぁ…





早乙女さん、きっと千景のこと好きなんだよね。


だから私にあんなこと言ったんだよね。








はー…

今は誰とも会いたくないかも…